【独自研究】ESG投資の潮流が変化している?
2023GWの余暇を利用して、最近の気になったニュースを紹介します。
ちょうど1年前にココのブログで社会的価値と経済的価値をより高レベルでバランスさせることは難しく、本気で世の中によいビジネスをしたければ、従来の延長線上に無い思い切った目標値を持つこと、もしくは政策や税制の変化を自社にとって有利に働くような事業活動へシフトすることが必要だと述べました。
<https://www.iwaiconsulting.com/2022/05/social-and-economic-value/>
今回は、米国で起こっているESG投資に反対する活動が大きなトレンドになりつつあるという内容で、先のブログにおける政策転換に該当する可能性があると思いましたので、ご紹介します。まだまだ結論が出た状況にはありませんが、少し注視していく必要がありそうですね。。
まず反ESG活動とは、どういうことかと申しますと、共和党の大統領候補と言われているフロリダ州の州知事であるデサンティスが中心的に活動しているもので、一般に世の中によいとされるESG投資を標榜する年金基金等の州政府機関から、フロリダ州は州の資金の引き揚げを発表した、というニュースがありました。こうした活動が米国の他の州でも続々と増えてきているとのことです(ネブラスカ州、インディアナ州)。詳細は次のURLを参考にしてください。
https://cigs.canon/article/20230417_7389.html
https://cigs.canon/article/20230418_7390.html
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN02BVY0S3A500C2000000/
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB231IX0T20C23A4000000/
ESG投資に反対する理由は複雑ですが、ごく簡単に言えば州政府が集めたお金を年金基金等の機関はESG投資の名の下で他州の企業へ投資していることが挙げられます。自州の利益につながらないということです。
米国の次期大統領が仮に、このデサンティスかトランプになれば、間違いなくESG投資やSDGs活動も中止されると考えられます。環境とか平等とか世の中によいとされていることが、その経済合理性の欠如から潮流から外れてしまう可能性が高まるのです。
もし、この反ESG活動が進められた場合に、どのような影響があるのでしょうか?それは2つあると思います。1つは自州の利益につながる投資先を優先することで、各州の予算規模の大小で投資先が決まってしまうことです。すなわち、より大きな予算を持っている州政府が自州の企業へ投資することで自州優先の経済活動が全米のあちらこちらで発生することです。もう一つは、米国の反ESG投資とESG投資の2種類の投資活動が併存することにより、世界的なESG投資の勢いが低下してしまうことです。さらには、他国でも一部で自国優先の反ESG投資が始まることでしょう。
このように世の中によいとされるESG投資と、自州自国優先の反ESG投資に投資活動が2分される可能性があります。さらには、企業活動もESG、SDGSの賛成派と反対派の2極化が起きる可能性もあります。
5年後か10年後か、予言することはできませんが、こうした2極化した経済に対して、具体的に私たちはどのようなことを想定し、備えていくのか。反ESG投資が日本経済にどのような影響を与えうるのか、少しずつでも考えていかないといけない今回のニュースなのかもしれません。