論文紹介「アベノミクスがIPOまでの期間に与える影響」
企業の上場に関する論文です。
<https://www.jstage.jst.go.jp/article/abas/advpub/0/advpub_0220125a/_article/-char/en>
2000年以降の景気拡大の中、2008年のマンショックにより株価は国際規模で下落しました。2009年には鳩山政権が発足し、無駄な支出を削減すべく、企業への補助金を見直すために事業仕分けがなされたことは記憶に新しいと思います。さらに2011年には世界がリーマンショックから回復している中で、日本は東日本大震災と福島第一原発事故によって、大幅に景気回復が遅れていきました。
このような状況のもと、IPO企業について、論文では以下のようにまとめています。
経済的、政治的状況が改善するにつれて、IPOする企業数が増加したことは明らかですが、IPOまでの期間も増加しました。これは、より良い経済状況がIPOを通じて調達できる資金量を増やすため、経済がうまくいっていないときに様子見の態度を選択し、IPOを延期した企業が状況改善した時にIPOを開始した可能性がある。したがって、経済環境が改善するとIPOまでの平均期間は長くなる。
言うまでもありませんが、政治と経済といった事業環境は企業業績に大きな影響を与えます。特に、中小企業はこのような状況を「受け身」としてとらえ、成す術もなく業績悪化を被っているように感じることがあります。
できることなら数年単位で事業環境の良し悪しを認識し、今はじっと我慢すべき時期、今は積極攻勢に打って出る時期など、経営戦略の基軸を立てることが重要です。診断士の役割の1つに「事業環境の正しい理解」があるかもしれませんね。