論文紹介「太陽電池トップメーカーの倒産理論」
今回は、太陽電池メーカーを例に企業の倒産理論を紹介します。
<https://www.jstage.jst.go.jp/article/abas/21/2/21_0220216a/_article>
ご存じの方も多いと思いますが、2000年代は日本をはじめ多くの国で複数の太陽電池メーカーが誕生し、競って性能向上と市場拡大を続けていました。特にFITを導入した国では巨額の資金調達と共に、巨大な太陽電池製造工場があちこちで建設されていましたね。日本も同じ状況でした。しかし、そうした企業が今はほとんど生存していません。この論文では、いくつかの企業を対象に、その置かれた状況を分析して、倒産の理由を急激な生産拡大による過当競争と太陽光発電市場の供給過剰によるもの、と紹介しています。
診断士としてここから何を学ぶべきでしょうか。
ずばり、私は「顧客ニーズの欠如」だと思います。
どのメーカーでも太陽電池で生まれるのは「電気」です。電気に良いも悪いもありません。(電圧が安定しているとか、停電時のダウンタイムが短いとか、電気の品質を語る方もいますが、なかなか日本では賛同を得られないと思います。)
そのような場合に、陥りやすいのが価格競争です。他社よりも高性能にしても、小型にしても、軽量にしても、結局は電気が安いが高いか。もうお分かりのように、このような競争は業界全体を滅ぼすだけです。
じゃあ、太陽光発電における顧客ニーズって一体何?
生活の中で電気に関する困りごとって、ありませんか?私なら、スマホの電池切れ、BBQでの電化コードが届かない、携帯バッテリーが重い、などなど。
太陽光発電だけでなく、電気利用全体に視野を広げて見ると、様々な顧客ニーズに気づけませんか?
発散と収束を繰り返し、そこから良いアイデアが生まれることを期待しつつ、今回はここまでとさせていただきます!