脱炭素に向けた業務改善(その1)

最近、脱炭素(カーボンニュートラル)に向けたご支援依頼が多いので、脱炭素に向けた業務改善の進め方をまとめたいと思います。

脱炭素(カーボンニュートラル)の進め方は2ステップで構成されます。

第1ステップ:設備ごとCO2排出量の見える化と全社削減目標の設定
第2ステップ:製造プロセスに則った製品1つ当たりのCO2排出量の試算

以下に内容をご説明します。

第1ステップでは、設備ごとの電力使用量やLPG消費量をベースに、設備稼働時間から年間のCO2排出量を計算します。
単位エネルギー当たりのCO2排出量は、環境省のWEBサイトで確認できます(https://ghg-santeikohyo.env.go.jp/calc)。これは現在の国内のエネルギー製造ルートをもとにCO2排出量を計算しており、定期的に数値が更新されています。また、電力会社では単位電力当たりのCO2排出量を公表していますので、こうした数値を用いることになります。こうして設備ごとに算出した年間CO2排出量が求まります。
目標値の設定では、中小企業の方は、主要な取引先に問い合わせて目標値を設定するようにしてください。例えば、「●●年までに●●年比で●%削減」というようになります。なお、国際的には年4.2%削減することが求められています。

第2ステップでは、主要製品を中心として製造プロセスを確認し、そのプロセスで利用する設備の消費エネルギーを削減します。その際、その設備の実際のエネルギー消費のクセを掴むことが重要です。具体的には、設備稼働中のエネルギー消費の変化を把握することです。ワーク加工中と動力稼働中、昼休みや夜間の待機電力など。これらはクランプメーターを使うとグラフで視覚的に使用状況が理解できます。製造プロセスごとに設備のCO2排出量が分かりますので、製造時間や製造個数を踏まえて、製品1つ当たりのCO2排出量が計算できます。そして、優先順位の高い製品から、どうすれば電力量やガス量を減らせるのか、例えば昼の休憩時間中の機械稼働を停止させるとか、段取り時間をしっかり取り、機械の稼働時間を集中させるなどのアイデアを作業員全員で出していきます。クランプメーターを使えば、その場で効果が見えますので、みなのやる気もアップします。全員参加で取組み、たとえ効果が小さくても日々の積み重ねで、月単位や年単位では十分な効果が期待できます。職場の一体感の醸成にもつながりますので、ぜひ設備ごとのCO2排出量を見える化して、その削減活動の実践へとつなげていただきたいです。