個別原価管理のすすめ
最近、中小企業における値上げ交渉のため、個別原価管理の支援要請が多くなっています。
個別原価管理とは、製品一つあたりの原価の適正化を図るものです。製品ごとに原価が出せるので販価と比べることで製品一つあたりいくらの利益が出ているのかリアルに分かります。また、利益を高めるために、製品ごとにどの費用を削減することが有効なのか、も分かります。このようにメリットが多く、また企業の利益の源泉がどの製品群なのか、が分かり今後の収支計画や事業拡大に資する経営の原点とも言うべき情報が集まっています。
しかし、個別原価管理を実施するのは簡単ではありません。製品原価には、材料費・労務費・外注費・その他製造経費があり、それらを製品一つずつに計算することがとても難しいです。例えば、作業日報で製品ごとの労働時間や機械の稼働時間を記録していたり、消耗品の交換期間中の生産数量を記録したりする必要があります。機械のメンテナンス費用や故障した際の修繕費を、製品ごとに費用を計算する方法は、非常に難しいです。
個別原価管理の書物では、労務費は労働時間×賃金レートで計算するよう書いてありますが、この賃金レートには注意が必要です。この賃金レートを計算した時期が10年以上前であることがよくあります。賃金レートとは、ごく簡単に言えば賃金を時間で割った数値です。10年間のうちに賃金はいくらかは上昇しているはずですし、昨今は昼や中間の休憩時間をしっかり取るようにしていますので、昔よりも労働時間そのものも減少しており、賃金レートにすると、10年前よりも2倍以上に増加しているケースが珍しくありません。
また、国内製造業の海外進出やコロナをはじめとする世界的な不況の影響を受け、国内中小製造業の受注量の減少傾向に歯止めがかかりません。受注量が減ると、製造現場ではどんなことが起こっているでしょう。
例えば、1時間で100個作る製造現場があったとします。1日8時間働けば、100個×8時間=800個の生産が可能です。では、現在は1日に500個の生産量まで減った場合を考えます。この生産現場では、1時間に100個作ることができますので、500個÷100個=5時間で生産できるはずです。しかし、現場はそうしません。
現場では、500個を8時間で生産するようになります。その場合、1時間に62.5個作っていることになります。100個作れるはずが62.5個しか作りません。そうです生産効率が下がっています。現場の生産者にとってみれば、「その日に作らなければならない量を8時間かけて作ればよい」と考えるのです。生産者の日当たり労務費が同じだとすると、1個当たりの労務費は37.5%上昇していることになります。
こうした見えない労務費の上昇を解決するためには、納期管理から生産管理へ管理方法をシフトさせることが有効です。その方法を知りたい方は、ぜひHPの「ご相談・ご依頼」ボタンから連絡ください。
貴社の労働生産性を飛躍的に向上させ、受注量が減っても利益を出す方法を、一緒に考えましょう!