中小企業こそ産業構造の変化に敏感になってほしい
蒸し暑く、過ごしにくい日々が続きます。今週末にも梅雨明けがありそうです。
その後は、夏本番がやってきます。みなさま、どうぞご自愛ください。
本日は、表題についてお話ししたいと思います。
自動車産業は100年に一度の変革期を迎えている、と言われています。デジタル化が進み、モノよりもコト、体験やサービスを中核とした価値提供の重要性が高まっています。
こうした産業構造の変化の裏側には、消費者の変化があります。少子化、高齢化、夫婦共働き、Z世代の台頭、外国人インバウンド。また、エネルギー問題、脱炭素、貧困や格差、孤立や孤独といった社会課題の変化もあるでしょう。
一方で、テクノロジーの進化も影響を与えています。インターネットやスマホに始まり、AIや5G、IoT、最近のChatGPTも大きなインパクトがありそうです。
こうして、消費者の変化とテクノロジーの進化を受けて、既存の産業がその発展に留まらず、産業そのものも大きく変わってしまうことがよくあります。
昔読んだ本ですが、冷蔵庫ができたおかげで氷屋が衰退したようです。また、言わずもがなですが、携帯電話の普及で固定電話がほぼなくなりました。自動車が普及して馬車がなくなったようです。
このように、新しいテクノロジーと市場ニーズがマッチしていると新しい産業は興りやすいと思われます。
一方で、市場ニーズがあるにもかかわらず、テクノロジー(もしくは解決手段)がない場合はどうなるのでしょう?
すぐに頭に思いつくのは、介護産業とエネルギーインフラ。どちらも日本にとって重要な問題なのですが、なかなかコレっていう解決策が見つかりませんね。ロボットや再生可能エネルギー? どちらもまだまだです。
さきほどテクノロジーと市場ニーズがマッチしていると新しい産業が興りやすい、と言いました。
では、テクノロジーの進化によって衰退する産業って、どんな産業があるのでしょうか?
冒頭でお話しした自動車産業がありますね。これはモビリティー・サービス産業へ変わろうとしています。
他には、印刷業や出版業もデジタル化により衰退する可能性が高いと言われています。これらはデジタル化を進めて垂直統合を図ろうとしています。印刷業がWebデザインやコンテンツ企画をしたり、出版業が電子書籍を始めたり。
こうした垂直統合が単に既存のビジネスモデルの拡大で終わるのか、それとも新しい産業として爆発するのか。その違いはどこにあるのでしょうか?
それは、顧客の変化を伴うか否かがポイントになります。
垂直統合が既存顧客への価値提供に留まっている場合、その既存顧客も先の消費者の変化に応じて、事業縮小せざるを得ません。新規顧客への展開があってはじめて、大きなうねりとして社会事業に発展する可能性が生まれるのです。
もちろん、初めは新しいテクノロジーで垂直統合を図り、既存顧客への満足度を向上させるのは良い方法です。しかし、そこで終わってはいけません。新しい顧客へのリーチすることが、自社の提供価値を修正し、更なるテクノロジーの吸収を可能にさせます。
衰退する産業にいる企業は、必死にデジタル化や社会課題への対応に励んでいると思います。しかし、縮小均衡する経済下では、その衰退にあらがうことはできません。中小企業の多くは、「できること」と「やりたいこと」に目が行きがちです。今の時代背景から自社の「やるべきこと」に目が行くと、必ず新しい発見があります。
今、自社の周りで産業構造の変化がどのように進んでいるのか。改めて、客観的な目で見つめてみる必要があると思います。
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