12/20 退職祝いの懇親会

出向されている方から退職に向けた壮行会の案内をいただき、図々しくも参加させていただいた。この会社には子会社から関連会社がたくさんあって、中には経営状況が芳しくない中小企業も含まれており、もしかしたら今後の仕事のチャンスかと、そういう下心もあって参加することにした。
出向者の同僚だけでなく、上司二人も併せて4名の方が駆け寄ってくれた。「どうして辞めるんですか?」「これから何をするんですか?」「家族の了解は得られているんですか?」・・・案の定、一通りの質疑を終えたあと、サラリーマン人生の話になった。いやしくも大企業に勤めていた我々にとって、定年前に退職するには、それなりの理由が必要だ。自分自身だけでなく、周囲も納得するような理由が必要になる。
私の答えは、いつもこうである。「やりたいことが見つかったから」

人生の中で自分自身で意思決定をどれくらいしてきたであろう。進学する高校や大学を決めた時。大学院へ進学するかどうか決めた時。就職先を決めた時。正直言って、どれも「なんとかして入れないかな」「入れそうなところはないかな」。失敗を恐れて、無難な選択しを探して決めたようなものである。完全な自由選択ではない。
ところが今回は完全な自由選択の中での意思決定である。別に辞めなくてもいいし、辞めてもいい。
これが私にとって、人生初の試みであり、大冒険である。自分の人生を自分で決められる自由さを獲得したのである。そんなことを話していると、ほとんどの人は羨ましく言われる。本心かどうかは別として。

50歳を過ぎて、会社を自己都合で退職するなんて、普通じゃないことは分かっている。今の会社にしがみついてでも定年の年齢まで勤め上げる。それはそれで大変良いことだと思うし、否定するつもりも毛頭ない。他人様の人生に助言できるほど、人間として完成していないし、達観しているわけでもない。

さて、これからどうするか。
今は不景気である。円安が過去にないほど進んでおり、輸出企業でも原材料の高騰で収益が急激に悪化している。行動制約のない年末年始を迎えると声高に風潮している陰で、コロナ第8波が大きくうなりをあげている。ロシアによるウクライナ侵攻も相まって、エネルギー資源高、食料高が続いている。
こんな外部環境では企業は二進も三進もいかない。大きな投資はできないだろうから、現場改善や原価見直しで売上高低下の中でも利益を高める工夫をするしかない。そう、筋肉質な経営体質を目指し、小さな利益を積み重ねて置き、次なる景気回復の波に備える必要があるのだ。
おそらく中小企業は販売価格の低下を強いられているだろう。しぶしぶだが、それに応えないと仕事がもらえなくなることもありうる。企業は商品ごと、販売先ごとの原価を明らかにして、いくらまでの価格低下にこたえられるのか明らかにしておく必要がある。どんぶり勘定で粗利が出ていればよい、というものではない。限界利益はいくらか、固定費を賄うための損益分岐点売上高はいくらか。
現場には7つのムダがある。加工のムダ、在庫のムダ、作りすぎのムダ、手待ちのムダ、動作のムダ、運搬のムダ、手直しのムダ。ホワイトカラーの職場にも7つのムダがあると教わった。業種によって、職場によって、人によって状況も千差万別だし、対策も異なってくる。さあ、今こそ、診断士の力が必要とされる時期だと思う。

完全な自由選択を実施してしまったあと、この先に待ち受けている自由はどんな自由だろうか。楽しみである。